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21世紀のコミック作家の著作権を考える会のアピール [MEMO]

 4年半ほど前に21世紀のコミック作家の著作権を考える会
http://www.k-book.gr.jp/bookclub-syo/21.html
がコミックの新古書店での売買に関してアピールを出した.

 ネットで検索すると,賛否両論あるようだ.
結局のところ法の不備などが主な原因のように思った.
石橋 敲は,著作権は護られるべきだと思うが,
この会のアピールは以下の点で著しく説得力がない.

1.漫画家と出版社で,現在,どのように原稿料や著作権料などの金銭のやりとりがなされているか説明がない.

2.新古書店や漫画喫茶のみをターゲットにしているが,問題は古書の売買であって,従来の古書店やインターネットオークション,個人間の売買,漫画をおいている喫茶店や理髪店などについての言及がない.

3.著作権が保護されている期間,著作物が出版されているとは限らない.

 まず,1についてであるが,
ほとんどの人が漫画家の収入のシステムを知らないであろう.
上記ホームページでは,
漫画家の収入はコミックの印税が主であるように書かれているが,
現在,ほとんどのコミック(単行本)は,
週刊など定期的に刊行されるコミック雑誌に1度掲載されたものである.
つまり,1度,コミック雑誌からの原稿料や印税を受け取っているのである.
漫画家と出版社との契約で,
このコミック雑誌からの原稿料や印税が低く抑えられていることも考えられる.
コミック1冊あたりを考えた時,

A.雑誌を読む読者の方が多いのか,
B.コミック(単行本)を買って読む読者の方が多いのか,
C.両方買って読むほうが多いのか,
D.立ち読みなど著作権料を払わずに読むほうが多いのか
E.キャラクター利用料などの方が多いのか

の統計と,それぞれからの印税額を示してもらわないと説得力がない.
当然,コミック以外の書籍との比較も重要である.
最近は,コンビニエンスストアでペーパーバックも売っている.
上記会の会員でもある江川達也氏は,
以前,TV番組で漫画のキャラクターの売り上げによる収入が大きい事を言っていた.

 次に2についてであるが,
文字通り,新古書店や漫画喫茶のみを取り上げる一般性がない.
例えば,新古書店と古書店の区別をどのようにつけられるのか?
確かに,書籍売り上げは新刊依存度が高いので,
会の主張も分からないわけではない.

 

 最後に3であるが,著作権が保護されている期間であっても,
経営的判断から品切れや絶版がある.
このような場合,その著作物を読もうと思うと,
図書館や古書店,新古書店,漫画喫茶を利用するしかない.
品切れや絶版の際,それらを利用しない方法を
出版社は顧客サービスの一環として示すべきではないか?

 

 手塚治虫氏の頃と比べて,漫画家の数は飛躍的に多くなっているし,
娯楽も多様化している.
また,いくら豊かになっても遊興費は無限ではない.

 単に,新興の新古書店や漫画喫茶を標的としたアピールを出すのではなく,
一般性,客観性を持った説得力のあるアピールを出すべきではないか?

 

これは,上記HPや雑誌で会のアピールを見て思った感想であり,
具体的な問い合わせや検索は行っていない.

 


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